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坂井 章浩
第33回原子力施設デコミッショニング技術講座テキスト, p.31 - 63, 2023/02
日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物の埋設処分の実施主体として、ピット処分及びトレンチ処分の埋設事業の計画を進めている。本報告では、原子力機構が計画している埋設処分事業について、(1)研究施設等廃棄物の発生施設や放射能インベントリの特徴と想定しているピット処分及びトレンチ処分施設の構造、(2)埋設処分するための主な性状の廃棄物の受入基準の検討状況、(3)2021年に整備されたウラン廃棄物の埋設処分に係る基準の考え方の内容を紹介した。
保田 浩志*; 麓 弘道*; 齋藤 龍郎
日本原子力学会誌ATOMO, 63(8), p.610 - 614, 2021/08
自然起源の放射性核種であるウラン及びその子孫核種によって汚染されたもの、いわゆる「ウラン廃棄物」の取扱いについては、近年原子力規制委員会等において自然科学や安全工学等の知見に基づき集中的な審議が行われ、令和3(2021)年3月現在、一定の方針が示されている。一方、筆者らは、将来世代に相当の負担をもたらし得るウラン廃棄物の処分にあたっては、これまで行われてきたような理工学的視点の検討だけでなく、人文・社会科学的視点からの考察が必要であると考え、関連する分野の専門家を交えた議論を進めてきた。本報では、そうした考えをもたらした背景や今後予定している議論の方向性等について紹介する。
核燃料教材作成タスクフォース
JAEA-Review 2020-007, 165 Pages, 2020/07
原子力科学研究所では、核燃料物質を取り扱う者の技術力の向上を目的に、核燃料取扱主任者免状を有する若手及び中堅職員で構成する核燃料教材作成タスクフォースを組織して、核燃料物質を安全に取り扱うために必要な基礎知識をまとめた。本報告書では、主に、ウラン及びプルトニウムを対象とし、核燃料物質の核的性質, 物理的・化学的性質、及び核燃料物質が物質や人体に与える影響について、基礎的なことも含めて記載した。また、核燃料物質の取扱いを安全に実施するための基礎的事項として、フード及びグローブボックスにおける取扱い、貯蔵及び輸送における注意事項、放射性廃棄物管理、放射線管理、ならびに異常時の措置などについて記載した。さらに、過去の事故・トラブルから学ぶために、国内外の核燃料物質取扱施設における事故事例をまとめた。
横山 薫; 大橋 裕介
Annals of Nuclear Energy, 141, p.107299_1 - 107299_5, 2020/06
被引用回数:6 パーセンタイル:60.71(Nuclear Science & Technology)原子力施設の廃止措置および解体中に、大量の一般鋼廃棄物が発生する。解体プロセスで発生する放射能がクリアランスレベルを下回る非常に汚染度の低い放射性廃棄物は、一般的な用途に再利用できる。ウラン廃棄物でのクリアランス測定システムの実現可能性を検討した。鋼材(アングル, チャンネル, 配管, 角管, 切断した配管)を測定する場合、ウラン1gで実施したウラン量定量での相対誤差は30%以内であった。
齋藤 龍郎; 小林 愼一*; 財津 知久*; 下 道國*; 麓 弘道*
保健物理(インターネット), 55(2), p.86 - 91, 2020/06
ウラン廃棄物およびウランを含む鉱さい等廃棄物処分安全の考え方は、まだ完全には確立されていない。その理由は、子孫核種の放射能が蓄積し、数十万年以後に線量のピークが生じるウラン安全性評価の不確実性と、遠い将来発生するラドンによる被ばくである。我々「自然放射性核種を含む廃棄物の放射線防護に関する専門研究会」は、ウラン含有廃棄物と鉱さい等廃棄物に含まれる核種、U-235, U-238とその子孫の処分に関する安全事例を研究し、ICRPやIAEAなどの国際機関の考え方と比較しながら、処分の現状を総括的に議論し、不確実性及びラドン被ばくの取り組むべき重要な問題を提言した。
梅澤 克洋; 森本 靖之; 中山 卓也; 中桐 俊男
Proceedings of 27th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-27) (Internet), 6 Pages, 2019/05
原子力機構人形峠環境技術センターは2016年12月に「ウランと環境研究プラットフォーム構想」を発表した。その一環として、われわれは、ウラン廃棄物工学研究を実施している。本研究の目的は、ウラン廃棄物の安全かつ合理的な処分に必要な処理技術を確立することである。具体的には、廃棄物中のウランや有害物質のインベントリを把握し、廃棄物中のそれらの濃度を、浅地中処分が可能な濃度に低減し、廃棄体の形態で処分する技術を開発することが必要である。廃棄物中のウランと有害物質の濃度を低減して処分するために、われわれは下記の課題に取り組んでいる。(1)ウランのインベントリ調査:ドラム缶中のウラン量や化学形態を調査している。(2)金属・コンクリート廃棄物の除染技術の開発:ウランで汚染された金属やコンクリートの除染方法を調査している。(3)有害物質の除去・無害化・固定化技術の開発:廃棄物中の有害物質の種類、量を調査している。また、有害物質の除去・無害化・固定化対策を調査している。(4)スラッジ類からのウラン除去技術の開発:多種類のスラッジに適用できる、スラッジからウランを除去する処理方法を検討している。(5)ウラン放射能測定技術:ウラン放射能測定の定量精度を向上させるとともに、測定時間を短縮化させる方法を調査、検討している。ウラン廃棄物工学研究の最終段階では、小規模フィールド試験及び埋設実証試験が計画されている。これらの試験の目的は、ウラン廃棄物の処分技術を実証することである。
北村 暁
JAEA-Data/Code 2018-018, 103 Pages, 2019/03
最新の熱力学データのレビューを行い、選定された値を高レベル放射性廃棄物およびTRU廃棄物の地層処分の性能評価に用いるための熱力学データベース(JAEA-TDB)に収録した。今回のレビューでは、(1)ジルコニウムの水酸化物および加水分解種の熱力学データについて、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)が公開した熱力学データベースと比較しつつ熱力学データを選定した。また、(2)金属イオンのイソサッカリン酸錯体の熱力学データについては、最新のレビュー論文を基に、選定値のレビューと内部整合性の確認を行ったうえで採用した。さらに、(3)アルカリ土類元素、ウラン(VI)イオンおよび炭酸イオンから構成される三元錯体の熱力学データについて、文献情報を暫定的に追加した。そして、(4)地球化学計算用に整備された熱力学データベースとの統合を実現させた。選定値の内部整合性は著者が確認した。更新したJAEA-TDBを有効活用するために、PHREEQCおよびGeochemist's Workbenchといった地球化学計算コード用フォーマットを整備した。
永野 哲志; 長縄 弘親; 鈴木 英哉; 利光 正章*; 三田村 久吉*; 柳瀬 信之*; Grambow, B.
Analytical Sciences, 34(9), p.1099 - 1102, 2018/09
被引用回数:12 パーセンタイル:45.99(Chemistry, Analytical)大量のウラン廃液からウランを連続的に抽出するために、溶媒洗浄型のエマルションフロー(EF)システムを開発した。これまでのEFシステムは有機溶媒を洗浄する仕組みを持っていないために、大量廃液を処理する際には有機溶媒に目的元素が蓄積し抽出性能が劣化するという問題があった。そこで、目的元素の蓄積を抑制するために有機溶媒洗浄ユニットを備えたシステムを新たに開発しウラン廃液処理に適用したところ、抽出性能の劣化を起こすことなく連続処理ができることが分かった。
坂井 章浩; 長谷川 信; 坂本 義昭; 中谷 隆良
Proceedings of International Conference on the Safety of Radioactive Waste Management (Internet), p.98_1 - 98_4, 2016/11
精製されたウランによって汚染されたウラン含有廃棄物の放射能は、長期において子孫核種の生成によって増加する。したがって、ウラン含有廃棄物の浅地中処分の長期の安全性の考え方が重要である。原子力機構では、処分施設のそれぞれの区画におけるウランの平均放射能濃度を管理する方法及び非常に保守的な仮定の下、安全評価を行うことにより、処分の安全性を検討した。
米田 政夫; 大図 章; 春山 満夫; 高瀬 操*; 呉田 昌俊; 中塚 嘉明; 在間 直樹; 中島 伸一; 大塚 芳政
Proceedings of INMM 55th Annual Meeting (Internet), 9 Pages, 2014/07
高速中性子直接問いかけ法(FNDI法)は非破壊測定手法の一つであり、14MeVのパルス中性子をウラン・プルトニウム等核分裂性物質を含む廃棄物ドラム缶に照射させることにより発生する核分裂中性子を測定するものである。FNDI法は、ドラム缶に含まれる核分裂性物質の量について短時間かつ正確に求めることが可能である。廃棄物で発生する自発核分裂中性子及び(,n)反応で生成する中性子を測定する手法であるパッシブ法に比べて、FNDI法は、測定時間が短く、廃棄物ドラム缶に含まれるウランの化学形に依存しないという特長を有する。FNDI法については、これまで原子力機構東海地区にあるNUCEFにおいて、長年研究開発に取り組んできた。そこでの成果をベースとして、原子力機構人形地区において、JAWAS-Nと呼んでいるウラン廃棄物ドラム缶を測定する実証装置について設計を行った。JAWAS-Nの製作・設置は2013年に完了し、2014年からウラン位置依存性, ウラン量依存性, ウラン化学形依存性, マトリックス依存性等の特性実験を進めている。実験と並行して、MCNP等のモンテカルロコードを用いた解析を進めている。本発表では、実験結果と解析結果の比較、及び実験を実施できない多量のウラン量に対する解析評価について報告する。
内山 軍蔵; 朝倉 俊英; 宝徳 忍; 藤根 幸雄
Solvent Extr. Ion Exch., 16(5), p.1191 - 1213, 1998/00
被引用回数:14 パーセンタイル:57.75(Chemistry, Multidisciplinary)再処理施設から発生するTRU廃棄物の減容及び環境放出放射線量の低減を目指した高度化再処理プロセス(PARCプロセス)を開発している。本報告は高度化再処理プロセスの概念及び分離原理の実証を目的として行った抽出実験結果について述べる。
小川 徹
消滅処理研究の現状; 新しい原子力技術の可能性を求めて, 0, p.117 - 124, 1994/08
マイナーアクチノイド消滅処理における燃料挙動解析上の着眼点とデータベースの現状について、酸化物、窒化物、合金、溶融塩の各系について概観した。
柳澤 宏司; 竹下 功; 野村 正之; 板橋 隆之; 辻野 毅
Proc. of the CSNI Specialist Meeting on Safety and Risk Assessment in Fuel Cycle Facilities, p.461 - 470, 1991/00
現在原研で建設・整備を進めている燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)では、i)臨界安全性に関する研究、ii)核燃料再処理に関する研究、iii)TRU廃棄物の処理処分に関する研究が計画されている。i)については、硝酸ウラン・硝酸プルトニウムの臨界及び過渡臨界データの取得、ii)については、高レベル廃液の群分離を含めた高度化再処理プロセス技術の開発、iii)については、TRU廃棄物の安全処分及び非破壊計測技術の開発が行われる。これらの研究開発の成果は、核燃料サイクル技術の高度化に資するとともに、核燃料サイクル施設の安全評価手法の確立に対する貢献が期待される。本書では、上記の3つの研究内容と実験設備について示し、安全評価手法確立への貢献について述べる。
中村 治人; 佐藤 淳和*; 宮崎 和英*; 久保田 益充
Radioact.Waste Manage.Nucl.Fuel Cycle, 3(1), p.17 - 27, 1982/00
アルミニウム合金を陰極とする電解浮上法により低レベル廃液から超ウラン元素やCoを除くための研究を行った。放射性トレーサーを入れた溶液および原研再処理試験(少量のPuを含む)を使って最適処理条件を検討した。電解処理に先立って酸性度をpH4から8の間に合せる必要があり、硝酸塩濃度は0.1mol/l以下がよいことがわかった。多量の重金属はあらかじめ除いておく必要がある。したがってこの方法は蒸発処理法のような通常の処理を行った後なお残っている重金属を除くための最終処理に適している。
小林 大志*; 佐々木 隆之*; 北村 暁
no journal, ,
イソサッカリン酸(ISA)共存下におけるウラン(IV)水酸化物(U(OH)(am))の溶解度を、水素イオン濃度指数(pHc = -log [H])およびISA濃度の関数として調査した。中性付近では溶解度がpHcに依存しなかった一方で、アルカリ性水溶液中では溶解度がわずかにpHcの増加とともに高くなった。溶解度のISA依存性が両対数グラフで傾き約2の直線となったことと併せて、支配的な溶存化学種はジルコニウム-ISA系で報告されているものと同じ化学形であるU(OH)(ISA)とU(OH)(ISA)である可能性が示唆された。これらの化学種の錯生成定数を実験値の最小二乗適合により求めた結果、適合結果が実験値をよく説明できることがわかった。
齋藤 龍郎
no journal, ,
自然放射性核種を含む廃棄物の放射線防護に関する専門研究会では、自然放射性核種を含む廃棄物の放射線防護に関する問題点について、放射線防護の視点から討議を進めた。検討結果と次回研究会に引き継いでほしい課題について紹介する。ウラン取扱施設から発生した放射線被ばくは、計画被ばくとして管理されるが、処分されたウランは、処分場の制度的管理が失われるときが来て、現存被ばくの線源となるかもしれない。処分場の制度的管理が失われる前に、1Bq/gないし1mSv/年を超えない処分計画が成り立つとき、ウランは将来世代に有意な被ばくを増やさないが、これらの計画被ばくの枠内で処分可能なウランしか処分できないと、レガシー化するウランが存在するかもしれない。ウランのレガシー化を防ぎ、将来世代に伝える方法はあるか。ウランの現存被ばくを受け継ぐ将来世代に対して、現世代は被ばく評価あるいは低減について、何を、どこまで果たすべきかを今後、検討していく必要がある。